真剣に触れるとき
今から15年ほど前に、つくば市にいた頃、
市民向けの演劇のワークショップに参加しました。
パパタラフマラという前衛的なパフォーマンス集団の演出家、
小池博史さんの演出による、本格的なワークショップでした。
1週間みんなで練習をして、最終日に一般の人向けに発表会を
行いました。社会人で仕事をする中、時間を作っての参加でした。
舞台中に私とセリフのやりとりがある別の役の男性が、
本番でいきなり、練習とは全く違う演技をしたのです。
表情も、言葉の発し方も、まさに「迫真に迫る」演技
という感じなのです。私は一瞬本当にびっくりしたのですが、
とっさにその演技に呼応するかのように、
自分の演技も全く変わったのを覚えています。
この時の経験は、本当に印象深いのです。
真剣なものに触れるとき、その触れた人の真剣遺伝子にもスイッチが入るのだと思うのです。
その真剣のパワーが強いほど、人に与える影響も大きい。
真剣に何かをやっている人に触れたとき、
真剣に生きている人に触れた時、
人は自分自身の中に眠っていた真剣を思い出すことができるのでは
ないでしょうか。
ここで、三井温熱療法師の尊敬する先生の言葉を思い出します。
「自分がまだかけだしだった頃、目の前の患者さんが真剣に生きようとしていたから、自分も真剣にならざるを得なかった。」
真剣に触れること、
自分自身が真剣であること、
物事や人の中の真剣を感じる感性、
ぜんぶ、ステキなものです。